美容と経営
2008年2月号


掲載P76〜79
出版:新美容出版

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掲載データ

ワンルーム空間に3つの小さな箱を配置し、多様なスペースを演出

JR「彦根」駅から約3km離れた住宅街に立地している「Keizo」(ケイゾー)。比較的交通量の多い県道に面しているため、内部が丸見えのガラス張りの店舗ではなく、1つの象徴的なシンボルとなる大きな開口部から内部が微妙に見えることで興味が湧くような仕掛けを設計した。コンセプトは”箱の中に箱”があるユニークな構造のサロンだ。
外観は単純なシルバーの箱の中に小さな3つの箱(トイレ、レセプションを含む倉庫、シャンプースペース)が入れ子状に配置され、それぞれに大きさも高さもバラバラでありながら、箱と箱の隙間からゆるやかにつながる1室空間になっている。吹き抜けになっている3つの小さな箱の上部は、スタッフルームや収納として活用できる。箱の外側を覆う素材は、床や壁や天井とは質感の異なる木毛セメント板で統一。白く塗装したものを張り付けている。粒子が粗く吸音効果も高く、自然光が射し込むことでイキイキとした表情が現れる。
レセプションを含んだ中心部の箱によって2つの動線がつくられている。鏡面は、シャンプーブースをはさんで2面ずつ配置。それぞれの席からは鏡越しに見える風景が異なり、席ごとの個性が出るようにデザインした。ある席は空が見え、ある席は太陽の光によって壁に現れる樹木の影が見える。 
東面、西面の大開口部からはそれぞれ午前と午後の異なる光が射し込む。上下層も視線や光によってゆるやかにつながることで広がりを生み出す。誰もが気持ちよい空間を目指し、自然をより身近に感じられるように開口部の位置と、時間ごとに射し込む光を計算した。空間も非広い・狭い、明るい・暗い、開いた・閉じた…と多様性を持たせることを意識して設計した。
ウェイティングスペースは、隙間から奥のスタイリングスペースの雰囲気が感じられることで閉鎖的にはならず、開口部からは常に光が射し込み、見上げれば空が望め、気持ちよい風が流れ、自然を身近に感じられる場となっている。

照明計画 
スタイリングスペースは自然な色味が確認できるように、鏡1面に対して天井からのダウンライトを蛍光灯とタングステンを混ぜて使用した。シャンプースペースは全体のフロアと差異を図るために間接照明のみとし、スタッフの手元を照らす照明とした。フロアの天井面の吹き抜け部は、星が降るイメージで屋根裏空間の天井から裸電球を吊り下げただけの簡素なものとした。全体的に、派手な照明は使わず空間の邪魔をしないシンプルな照明計画である。

色彩計画
内部空間は建築の構成をそのまま表す色彩計画とした。具体的には、2層の空間は白色と茶色により、色とともに素材も統一され区分される。壁の色が切り替わる位置はシャンプーブースの上端。シャンプーブースの上にスタッフルームを設けており、2層の建築であることが認識できるポイントになっている。シャンプーブースは癒しの場となるよう、黒1色の落ち着いた空間になるよう計画している。
(文・武田邦康/クニヤス建築設計 編・新美容社編集部)